メンタルケアが重要な高齢者の介護

高齢者の介護でメンタルケアが重要な理由は、年齢を重ねるほど自分だけではメンタルを正常な状態で維持するのがどうしても困難な状況になるからです。特に後期高齢者くらいになると失われていく恐ろしさに苛まれる傾向が強くなっています。数年前までは元気だった知人が亡くなったり、配偶者が他界してしまったりすると喪失感が生まれます。介護施設に入ると家族とも離れて暮らさなければならなくなって孤独感に苦しむことになりがちです。さらに、老化や病気によって自分の心身の機能が失われてくると虚無感も湧いてきてしまいます。このように、今まであったものがどんどん失われていってしまって、苦しい状況に陥ってしまうのです。

高齢者の介護では、本人が色々なものを失っていることを自覚していて、メンタルが不安定になりがちだと理解しておく必要があります。その視点でメンタルケアを徹底することにより、前向きに生きる元気を持たせるのが重要です。メンタルケアを怠ってしまうと、思考がネガティブになってしまって「もう生きたくない」と思うようにもなりかねません。高齢者が一人暮らしをしていて自殺しているケースもあるように、生きる望みが失われてしまうと大変なことになるリスクがあります。メンタルケアを通して生きる楽しみを自覚させると、心身の機能が失われてきてもリハビリの努力をします。たとえうつになっていたとしても、その努力が実ると前向きな気持ちで生きられるようになるでしょう。